風花鳥

ハンドメイド作品の公開と、日々の徒然なること。

東京タワーとアートに迷走した日々。

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東京タワーって久々に見ると溜息が出ます。流石にスカイツリーを知ってしまった今、意外と小さいなと思ってしまうのですが、それでも、東京タワーは赤くいし格好良いし、あの脚の鉄骨も、こんな近付けるのねと。なんだか幼い頃、想像した東京という漠然とした都会の夢が詰まった感じの背景にはいつも東京タワーの夜景が浮かんでおりまして、たまに東京タワーに行ってみるものだなと思い、更に、下のマリオンクレープで期間限定のイタリアンマロンショコラにすべきかパンプキンパンプキンにすべきか散々悩んで、安定のチョコクリームを注文して一人で頬張って帰って来ました。いや、どや子も一緒でしたので、取り合えずお写真撮影。東京タワー、いくら小さいと思っておりましても、お写真に収めるのは難しいですね。

先週、実は六本木に通っておりました。思っている事をそのまま他人に話すと、可愛く言うところの不思議ちゃん扱いされてしまうので、あまり外では話さないようにしているのですが、このまま仕舞っておくと忘れてしまいそうなので、ちょっと書いておこうかなと。

六本木はお洒落でセレブな街過ぎて、ドトールの珈琲ですら1000円超えるよという嘘すら信じてしまいそうになるような敷居の高さです。一人では中々行けないです。ですが、月曜日に用のある友人に付いて行き、なんとなくふらりと歩いておりましたら、六本木ヒルズにてアートナイトというイベントの準備をしておりました。そこで、なんというか、出会っちゃったのです。なんだか凄く引っ掛かる物に。

それは山本基さんの『迷宮』という作品の制作過程でした。作品名だけ言ってしまうのは、簡単なのですが、何と言うか、不思議。よくわからない物を淡々と作っている。失礼かもしれないですが、それが第一印象でした。上記のお写真の迷路のような物、塩で出来ています。ただ只管に塩の道を一人の男性が作った物なのです。凄いです。よくわからないです。よくわからな過ぎて、気になってしまい、夜も眠れない程でした。仕方なしに、完成するまで毎日、六本木に通ってしまいました。もう、暇なの? と、問われれば、それだけかもしれないのですけれどもね。

現代アート。正直、よくわかりません。可愛いと綺麗、凄いな、面白い、そんな名前の付いた感情以上の事を思い起こさせるなどと考えた事もなかったです。ただ、何かを断定していない形というものは、見る側により何とでも意味付けできるなと。始め、この迷宮という作品を見ながら、自分自身、何かに関連付けて多少強引にでも意味付けしよとしておりました。極端に言ってしまえば、神様にだって見えてしまえたのです。神様なんて目に見える断定的物ではないので、尚更、アートは偶像化できてしまえるようになるのです。そもそも、アートって何なのかしら。

アートとは、芸術、美術。間接的に社会に影響を与えるものである。芸術とは、特殊な素材、手段、形式により、技巧を駆使して美を創造、表現しようとする人間活動。及び、その作品。

「美しい」と思うことは、後天的感情であるなと思うのです。こういうものが美しいと幼い頃から育てられた感性により生まれるものではないかなと。そして、「美しい」とは違い、持って生まれた物として「よくわからない」「怖い」「面白い」だと思うのです。勿論、この三つは成長と記憶により変化する物でもあるのでしょうが、幼い頃の自分を思い返した時、一番古い記憶がこの三つなのです。最もそれは私自身の記憶だけでしかないので、他者と比べたこともなく、飽く迄、持論でしかないのですけれどもね。

『迷宮』の制作風景をずっと観ていましたら、それが何なのかわかるかしらん。と、まぁ、通っていたのですが、答えなどない事はわかっておりました。ですが、そんな風に思考を捏ね繰り回すのって面白いですよね。それは私の思考で、それを制作しております山本基さんとはまったく別の思考。彼の作品をきっかけに動き出す。作品が完成した日、山本基さんに「これ」は何なのでしょう? とお聞きさせて頂く機会が御座いました。とても丁寧に答えて下さり、それは興味深いお話しではあったのですが、やはり、それを観ておりました私とはまったく別の思考の下にございまして、それが凄く不思議で面白かったなと。人の思考がが其々独立して存在する。改めて、そのことがこの世に生きているという気がして、なんだか、嬉しくなりました。

それともう一つ、『迷宮』が私の心を捉えた理由として、凄く単純に、他人の頭の中にある物が形になっていくという行為がとてもとても面白かったのです。決められた形ではなく、何かを起点に山本基さんという頭の中だけに存在する何かよくわからないものをこの世界に生み出していく。不思議過ぎます。前に伊勢丹さんで印伝の型を切っております職人さんの技をデモンストレーションしております場に行き当たり、眺めておりました事があったのですが、それはあくまでデザインがあり、それに沿って切って行くという作業で、勿論、それは誰にでも出来る事ではないのですが、それに勝る面白さを感じたのです。しぶちかのケーキ屋さんのデコレーション風景だって私の中では軽く上回ってしまいました。父の作る剣道の胴の胸当ての刺繍よりも。と、どれだけ誰かの作業風景を観ているのでしょうね。どれも面白いのですが、やはりあれだけの規模で、実用性と別の所にある何かというのは、凄く面白かったのです。

リアルなゲーム、激しい音楽、そんな中におりますと、なんだか催眠状態に陥りやすい性質です。集中すると周りが見えなくなると言った方が正しいかしら。兎に角、熱中しやすいのです。『迷宮』をじっと観ておりましたら、六本木ヒルズの少しひんやりとした快適な空調と、薄暗い照明、臭いの無い匂い。なんだか塩の模様の中に捕り込まれていくような錯覚を何度も感じました。足先からどんどん侵食されてしまいそうで、その横で黙々と作者による作業で増えていく模様。一時期はまった初音ミクのゲーム以来です。塩の模様でそんな感覚にさせられるとはなんだか驚きでした。何時間だって観ていられます。

そんな感じの一週間を過ごしておりましたら、なんだか週末は熱が上がってしまい風邪をひいてしまいました。六本木でアートに触れた一週間、と凄く聞こえの良い表現と、知恵熱かしら。今週はのんびり過ごしたいなと思います。ちょっと疲れてしまいました。

 

ナノブロック 東京タワー デラックスエディション NB-022

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Return to the Sea: Saltworks by Motoi Yamamoto

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